X51.ORG : 割れる海 - 出エジプト記の謎を数学者が解明か
HOME > SCIENCE > Article

割れる海 - 出エジプト記の謎を数学者が解明か

redsea_mose.jpg【sptimes】この程、ロシアの数学者と海洋学者との共同研究により、旧約聖書に伝えられるモーゼの奇蹟 - いかにしてモーゼが紅海を切り開き、ユダヤの民と共にエジプトから逃れたか - が明らかにされたとのこと。旧約聖書によれば、モーゼが率いるユダヤの民は分断された海水の中から現れた海底を歩いて紅海を渡り切り、その後に続いたエジプトの兵士達は元に戻った海の中に飲まれ、多数の兵士が溺れ死んだと記述されている。「今回の研究ではユダヤの民が海を渡って歩き始めたと言われている地点から、紅海の北側まで伸びる暗礁に注目した。聖書に描かれている時代では、暗礁は今よりも大分海面に近かったんだ。」研究を行った数学者ナウム・ヴォルジンガー氏は語った。今回の研究は6ヶ月を要し、作業はほぼ全て数学的な計算に終始したという。そして、この程ようやくその成果が「出エジプト記における流体力学状況のモデリング」という論文にまとめられ、ロシア科学院の広報誌上に発表されたのである。「論文は凡そ専門的な用語ばかりだね。ほぼ全て微分方程式で解き明かしたよ。」ナウム氏は語った。(写真は映画「十戒」より)

ナウム氏が語る通り、論文はこれまでの議論のような宗教的な視点を一切含まない極めて科学的な内容であり、論点は、とにかくそれが実際に起こったとして、ではいかにして波が分けられたのか、という一点に絞られている。ナウム氏が注目した問題は、まず暗礁が海面上に現れるにはどのくらい激しい嵐が必要だったか、そしてどのくらいの時間、暗礁が海面上に露出していたのか、どのくらい経った後、海水が再び暗礁を覆ったか、といった問題である。

「暗礁は海面上に現れるには、風が一晩中、風速30mの速度で吹き荒れていたと仮定する必要がある。それに加えてその時、ユダヤの民は60万人はいたと言われているから、7kmの暗礁を全員が歩いて紅海を渡るのには大体4時間はかかっただろう。そしてその後30分程で海水は元に戻ったと考えられる。」ナウム氏は語った。

そして数学者であるナウム氏は、ロシア科学院の海洋学者アレクセイ・アンドロソフ氏の協力を得て、海洋における氾濫や津波と言った現象を数学的に解析し、研究を進めたのである。

ナウム氏が研究するこのモーゼの奇蹟はシェマ(1日3度復誦されるユダヤにおいて唯一神を崇める重要なお祈り)の中に今でも残っている。サンクトペテルブルグでユダヤ人コミュニティーの代表を務めるマーク・グルバーグ氏はこの奇蹟がユダヤ人にとっていかに重要な事であるかを説明した。

「ユダヤの民は、歴史上初の一神教国家を作った民族ですが、やがてエジプトに奴隷として連行され、苦難の時を迎えるわけです。しかし、そのような時に神はユダヤの民を約束の地へ必ず誘うと告げられた。だからこそ、この出来事はユダヤの民族にとって非常に重要な意味を持つわけです。そしていざユダヤの民がエジプトを脱出し、紅海まで辿り着いて立ち往生したとき、彼らがその苦難を乗り越えるには奇蹟が必要だったのです。そして約束どおり、彼らの神への強い忠誠への見返りとして、奇蹟が起こったと考えているわけです。その一神教から生まれたシェマは現在まで生きているのはそういう理由からでしょう。」グルバーグ氏は語った。

この余りにも信じがたい「海の分断」という出来事はこれまでも長年に渡り、多くの人々の想像力をかきたててきた。例えば、中世の哲学者トマス・アクィナスもこの出来事を可能であると、自著に記している。そして現在でも世界中の学者達がこの出来事が本当に可能であるか、その可能性を巡り多くの議論がなされてきたのである。しかし、今回ナウム氏とアンドロソフ氏行った研究は、そうした可能性について「それが可能であるかどうか」という抽象的な議論ではなく、「とにかく事実である」と仮定して、ではそれがどのように起こりえたか、その一点に絞って研究が進められたのである。

「我々は徹底してアイザック・ニュートンと同じ視点、つまり徹底した科学的な視点からこの出来事に向き合った。私は、神が物理の法則を通してこの世界を支配していると考えているからね。」ナウム氏はやや冗談めかして語った。そして更に「ユダヤの民がその歴史的使命を果たすには、彼らは何としてでもエジプトから逃れなければならなかったんだ。」と付け加えた。

「実際、このモーゼの奇蹟が、ユダヤ人の建国にも強い影響を与えている事は確かです。ユダヤ民族はその民族の歴史と苦難の歩みを強く信じているのです。」グルバーグ氏は語った。

そして出エジプト記によれば、辛うじてエジプトから逃れたユダヤの民は紅海を前にして、4つに分裂するのである。1つ目のグループは奴隷という扱いにも関わらず、極度の空腹からエジプトに帰ろうとした。そして2つ目のグループは追跡する敵と戦う事を望んだ。そして3つ目のグループはただ祈るべきだとした。そして最後の4つ目のグループはただ、信じた。私たちはこの紅海を渡れるはずである、何故ならば神がそう告げたからであると。

「このエピソードから学ぶべきところは非常に多いのです。我々ユダヤの人々がいかに神を信じているか。そして奴隷という恐怖を忘れて、あるいは克服して、神の声に耳を傾け、一切の疑いを持たずに神に従う事ができるのかという事が端的に現れているのです。だから当然のこととして、我々にとって紅海の分割という出来事は事実としての奇蹟以外の何物でもありません。」グルバーグ氏は語った。

ナウム氏は現在、今回の発見をまだいずれの宗教団体にも連絡しておらず、またそうした団体からの反応は一切受けていないという。

また、ナウム氏は、この紅海の分断は今後は二度と起こらないだろうと話している。現在では既に暗礁部が船の航路を作る理由から分断されており、また出エジプト記に描かれる時代よりもはるかに水深が深くなっているからである。「もしまた分断が起こるとしたら、それは出エジプトの時とは違う奇蹟だろうね。」ナウム氏は語った。

【参考】出エジプトの道をたどる | シオニズムとクリスチャン | 忠布.com : 出エジプト記より

主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海は乾いた地に変わり、水は分かれた。イスラエルの人々は海の中の乾いた所を進んで行き、水は彼らの右と左に壁のようになった。

【関連】出エジプト記:「ファラオの戦車」を発見か | ノアの箱舟を露研究団が現地調査 潜水艦説も浮上 | キリストの死を描いた問題作に教皇がゴーサイン

HOME > SCIENCE > Article
SEE ALSO
;
COMMENTS (20)
1.  匿名  2004/01/25 00:33:59 [RES↓] [TOP↑]

現物理学的に可能なことはわかりましたが、現実味がないですね
そもそも、そこに嵐がくることが前提じゃなきゃ前もってユダヤ人をあんなに多くあつめられないんじゃないかと
紅海に嵐が来て、暗礁の底をわたれたとしても人を集めるのに時間かかりすぎてたら海閉じちゃうよ!!ほんとに閉じちゃうよ?みんな海の中で溺れちゃうよ!!
宗教団体もそこらへんわかってるから連絡してこないんじゃ…

2.  匿名  2004/01/25 13:38:46 [RES↓] [TOP↑]

そもそもエジプトに奴隷として大量のユダヤ教徒の
祖先がいたというのが怪しいという話をどこかで聞
いたような いたとして数えられるくらいだろうと
言う話を

3.  匿名  2004/01/25 17:09:39 [RES↓] [TOP↑]

紅海を割ったのって実は古代ヘブライ語からの翻訳間違いで
踏み割ったのは紅海沿岸の湿地帯の葦で、追跡のエジプト兵は
重装備から湿地帯の泥に飲み込まれた。って言うのが通説に
なっていたと思ったんだが・・・

4.  shiraga  2004/01/26 01:27:11 [RES↓] [TOP↑]

風速30mの嵐の中、現れた暗礁を渡るか?というか、渡れるか?
貝や海藻の付着した滑りやすく足場も悪い状態だぞ?

この研究、労力の無駄遣い以外の何物でもないな。

5.  匿名  2004/01/26 08:14:22 [RES↓] [TOP↑]

Red Sea(紅海)ではなくてReed Sea だったんですよね、本当は・・・

6.  yas  2004/01/26 12:36:09 [RES↓] [TOP↑]

いやはや、とても面白い話題ですね。僕はクリスチャンで教会で働いているので、興味を持ちました。
感じたことは、紅海が分かれるほど風が吹いたら、その前にモーセと民はどっかに飛んで行ってしまうだろーなとふと思う。
 聖書を信じる人々は、神がこの天と地を想像した。(創世記より)を土台にしている。そして聖書の神は人間の知性をはるかに超えた方であるからして、知識ではとうてい理解はできないだろう。

7.  abyss  2004/01/27 21:10:53 [RES↓] [TOP↑]

かなり昔、この話はもっと現実味のある話聞いたけどなぁ…

火山(テラ火山?)が噴火していて、マグマ溜まりが空になって、陥没し、水が流れこむ。
津波の前に水が引くのと同じように水が引く。
浅瀬が干上がり、そこを渡る。エジプト軍が責めてくる頃、反動で津波が来る…って話だったと思います。

30mの強風の中で人間がまともに歩けるとは思えないので
今回のは信憑性は疑問ですね

8.  MDMA  2004/01/29 00:13:21 [RES↓] [TOP↑]

つまり、この研究者は柳田理科雄理論を使ってるわけです(笑
[ >> LINK ]

9.  samurai  2004/02/04 03:46:15 [RES↓] [TOP↑]

モーゼはきっと未来から来たんですよ!。

だから海が割れる事を知っていた。
何時間後に海が元に戻る事も知っていた。

とかだったら夢がありますねえ~。

10.  ワン  2004/02/26 00:38:19 [RES↓] [TOP↑]

割ってみたいねぇ〜海。

11.  なっち  2004/03/01 12:23:03 [RES↓] [TOP↑]

って言うか、研究したのって、ロシアの人でしょw

12.  匿名  2004/03/09 23:58:39 [RES↓] [TOP↑]

>>論点は、とにかくそれが実際に起こったとして、ではいかにして波が分けられたのか、という一点に絞られている。

論点からずれたコメント多すぎ・・・

13.  *a**y  2004/04/08 17:20:48 [RES↓] [TOP↑]

トルコのイズミット地震で「割れた海」の事例が報告されているそうです。

[ >> LINK ]

理論的に説明がなされているのが興味深いところですが、いずれの計算にしても、どんぴしゃのタイミングで起きなければ奇跡としての意味はないのは言うまでもありません。

14.  匿名  2004/05/03 01:11:39 [RES↓] [TOP↑]

>論点からずれたコメント多すぎ・・・
実際に起きたと仮定されている以上、人間がその状況で
渡れるのかどうかも重要です。
 その点で言えば、津波の引き潮説で進めた方が信憑性は
高そうですね。

15.  匿名  2004/07/20 02:36:43 [RES↓] [TOP↑]

逆に考えると、
こういう何千年・何万年に一度クラスの
超奇跡的自然現象を体験したからこそ、
信心深さが増してユダヤ教が現代まで生き残れた
とも言え・・ないかな?

歴史上消えていった他の宗教には、こういう偶然の奇跡が
起きなかったってことね。

16.  匿名  2004/12/10 21:14:12 [RES↓] [TOP↑]

大山総裁は石を割ってた

17.  匿名  2005/02/07 15:01:05 [RES↓] [TOP↑]

今のユダヤ人は中世かそれ以前にユダヤ教の教えに共感した
ヨーロッパ人たちが黒海の西側辺りに集まったのが始まりで
もともとのユダヤ人は今は北アフリカの辺りに住んでいるんでは
なかったっけ?

18.  匿名  2005/02/07 15:01:41 [RES↓] [TOP↑]

今のユダヤ人は中世かそれ以前にユダヤ教の教えに共感した
ヨーロッパ人たちが黒海の西側辺りに集まったのが始まりで
もともとのユダヤ人は今は北アフリカの辺りに住んでいるんでは
なかったっけ?

19.  Lisa  2006/01/17 01:02:04 [RES↓] [TOP↑]

実家のパソコンだとこのサイトにつないだ時に

Norton Internet Security がこの制限サイトに対するアクセスを遮断しました。

って出てしまうんですが、百歩譲ってそれはいいとしても…

遮断したカテゴリ: セックス(行為)

はどうしてでしょうね。

20.  Lisa  2006/01/17 01:02:34 [RES↓] [TOP↑]

実家のパソコンだとこのサイトにつないだ時に

Norton Internet Security がこの制限サイトに対するアクセスを遮断しました。

って出てしまうんですが、百歩譲ってそれはいいとしても…

遮断したカテゴリ: セックス(行為)

はどうしてでしょうね。

PAGE TOP | HOME | CATEGORY:SCIENCE

X51.ORG

CATEGORY

SEARCH

ARCHIVES


;
HOME | EARTH | ANIMA | ANAL | ENEMA | FILES | CONTACT | RSS

2003 - 2014©X51.ORG RIGHTS RESERVED.