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浮遊する謎の発光体 — "球電"現象とは

ball_light_r.jpgNationalgeographic】"球電"という言葉を聞いたことがあるだろうか。球電(ball lightning)とは、その名が示す通り、あたかも電気を帯びて発光したボール状の物体が、地面から浮遊して移動するという謎の現象である。これまで数百年以上に渡り、世界各地で目撃が続いているが、その正体はいまだ明らかにされていない。「まだ決定的な理論はありません。誰もその正体を知らないんです。」そう語るのは米ワシントンDC、海軍研究所の物理学者、グラハム・K・ハブラー博士である。「大多数の科学者は、いまだこの現象を説明する理論が確立されていないと考えています。」(写真は1987年長野県黒姫で日本の学生が偶然屋外で撮影したとされる球電の写真。球電を収めた数少ない貴重な写真として世界的に知られる。クリックで拡大)

球電との接近遭遇

かつて行われた球電に関する幾つかの調査によれば、実に30人に1人、または150人に1人といった割合で、球電現象を目撃したという回答が得られたという。そしてグラハム博士自身もまた、それら球電現象を偶然目の当たりにした一人なのである

ball_lightning2_r.jpg博士が球電に接近遭遇したのは、まだ氏が16歳の頃である。その日は激しい雷雨で、グラハム氏は公園の休憩所(ドアのない屋外型休憩所)で雨宿りをしていた。「そこで見たものは、本当に異常な出来事でした。多分、見た人誰もが、一生忘れられないような出来事です。」グラハム氏によれば、その時、突如としてテニスボール大の眩く輝く球形の物体が現れ、地面から浮上したままグラハム氏の方に急接近してきたという(※写真は17世紀に記録された球電事件を描いたものと思われるイラスト。この球電現象が原因となりえる寓話的民間伝承や逸話は実に多い。また1916年にはオカルティストのアレイスター・クロウリーが球電らしき物体を目撃しており、第二次世界大戦中の米軍パイロットが目撃した"フー・ファイター(未確認飛行物体)"も正体は球電であったとする説もある。航空機との遭遇事件については下記参考1参照)。

「丁度、地面から数フィート浮上したまま、這うようにしてこちらに接近してきました。しかし休憩所の中に到達すると、床面に一端落下して、床の上を転がるように移動しはじめたんです。その物体はグルグルと激しく回転、振動しながら、まるでお湯が沸騰したときのようなシューっという音を立てていました。そして物体が休憩所の中を突っ切って外へと飛び出すと、再び地面から数フィート浮上したんです。」

グラハム氏によれば、その物体はあたかも帯電し、地球の電磁場に沿って移動しているかのように見えたという。「その後、私は自分が見たこの出来事を多くの人に話したんですが、みな私が狂っているとでもいうに、誰も信じてくれなかったんです。だからそれ以来、私はこの話を人に話すことを止めました。」

「それから十年以上、私はあの日みたものが一体何だったのか知るよしもなかったのですが、その後大学院の授業の中で始めて球電という現象を知ったんです。いまでもこの現象に懐疑的な人々はいますが、実際にこの球電現象が存在することを示す、膨大な観測例があるんです。」

球電の性質

「確かに、世界各地で記録された同様の特徴を示す事例は、一万件以上に及びます。そしてそれら目撃事例のすべてはこの現象の存在を示唆しているんです。」そう語るのはニュージーランドのカンタブリー大学で化学の教授を務めるジョン・アブラハムソン博士である。

博士によれば、これまで数多くの人々が一様に、テニスボール大、時にはビーチボール大といった球電が浮遊している現象を目撃しているという。また目撃事例の多くが、雷雨の際に発生していることは事実である一方、現在ではまだ球電現象とそれら気象現象との間に、明確な類似性、関係性は発見されていない。

球電は地面から浮上し、しばし地面や他の物体と衝突してバウンドすることもある。しかし目撃者によれば、風や重力の影響をまるで受けていないように見えるという。また目撃例から導かれる平均的な球電の明るさはおよそ100W程度の電球レベルと推測されているが。しかし、中には球電がガラスを溶解させて突き破り、網戸を燃やしたという報告も存在する。また球電が発生し、維持するのは通常10秒程度というように、きわめて短い時間であり、大抵の場合、最後はそのままフェードアウトするか、小爆発を起こして消失するという。

george_lightning_r.jpgそれら事例の研究によれば、球電現象は基本的には人間に害悪となりえるものではないとされている。しかし中には、球電との接触によって死亡したというケースも記録されている。1753年、ロシアの物理学者ゲオルグ・ウィルヘルム・リッヒマンはサンクトペテルブルグで針がねを用いた電気の誘導実験(B.フランクリンの凧揚げ実験と同様のもの)を行っている最中、突如発生した球電と接触し、感電死したと言われているのである(写真は事故の様子)。


球電の研究

このように、球電に関してはこれまで多くの観測事例があるにも関わらず、その偶発性、非再現性故に、科学者たちの目を欺き続けているのである。しかし現在、この現象を説明する科学的理論が全く存在しないわけではない。科学者たちはこの球電現象を説明する理論として、プラズマがその背景に存在するのではないかと予想しているという。荷電粒子が集積して生じるプラズマ雲は、時に自然界におけるさまざまな発光現象の原因となることが知られている。そして、このプラズマ雲は稲妻などの放電によって発生するため、それが球電を形成するという理論である。

また別の理論としては、荷電によってボール状に結合した微粒子が、酸化することで発生するというものがある。例えば稲妻が地表へ落雷するときには、水蒸気が形成されている。そして水蒸気が空中で酸素と結合し、化学エネルギーの放出と共に燃焼を生じるというものである。

「(球電は)実際に膨大な電気エネルギーなんです。そしてそのエネルギーのうち一部が化学エネルギーへと変化して粒子の中に蓄積されるわけです。」この仮説を支持するアブラハムソン博士は語る。現在博士の研究所では、上述の理論やその他様々な理論をもとに球電現象を人工的に再現すべく実験を行っているという。

また一方、海軍研究所のグラハム博士は近年のデジタル機器の普及により、球電現象が(一般の人々の間で)ビデオカメラに撮影される機会が増えるのではないかと期待しているという。

「近年のビデオカメラの普及によって、人々が球電現象を撮影することも起こりえると思います。またそれらの映像によって今後さらに研究が進むものと考えています。これは疑いなく、自然界に生ずる完全な物理学的現象なんです。とても興味深いものです。そして私は自分が生きている間に、何とかしてこの現象の正体を知りたいと思っているんです。しかしそれは我々の知らない全く未知の物理学であり、深遠な世界なのかもしれません。」


【参考1】"球形の稲妻"で製材所が全焼 中国
※先月26日、北京で球電とおぼしき現象によって製材所が全焼するという事故が起きている。伝えられるところによれば、深夜二時頃、突然の落雷音と共に現れた”球形の稲妻(球形闪电)”が製材所の中を西から東へと移動し、火災が発生。20部屋が全焼したという。北京気象観測所の専門家は、「球形の稲妻はきわめて珍しいものです。ゆっくりと移動し、壁にバウンドして室内を飛び回ることがあるため、そのとき可燃物に触れて火災が発生することがあります。いまだ科学的に説明できるものではありません。」と、コメントしている。

- 北京球形闪电空中漂移引燃20间民房

※中国で撮影された"球形の稲妻"らしき物体を収めたビデオ。

【参考2】「火の玉」の科学―なぞの正体にせまる / 謎の発光体 球電より
※球電に関して膨大な目撃事例が検証された同書(物理学博士ジョルジュ・エゲリ著・大槻義彦監修)には、超常現象を球電によって説明する多くの事例が紹介されている。また監修の大槻教授は、エゲリ博士の研究を高く評価しながらも、エゲリ博士の球電理論=「四次元形態説」については「何の根拠もない」と、まえがきの中であっさり切り捨てている。

1 . UFOと航空機の接近遭遇事件

球電は肉眼による目撃だけでなく、レーダーによって観測されることもある。球電は多量の電荷を放出(時には一分間に1クーロン程度もの量を放出)しているので、電磁波をよく反射し、レーダーにも映るのである。飛行機が球電と遭遇した場合に、球電が飛行機を追いかけたり、また逆に球電が飛行機の追跡から「逃げたり」する。このため球電がUFOと思われがちだが、この挙動は飛行機の帯電が球電と同符号か異符号かによって説明される。同符号の場合、引力が働くので、あたかも球電が飛行機を追跡しているように感じられる。ときには飛行機に衝突し、損傷を与えることもある。これまで、いくつかの謎の飛行機事故が「UFOの攻撃か?」と考えられた例がある。この機体の残骸を調べたところ、孔だらけになっていたという。これも球電の仕業と理解できる。球電は爆発するさいに、まず小さな球に分裂する。これが機体に孔を開けたのだろう。

2 . 人体発火現象

体内で球電が発生しても、その場所によっては死に至らないこともある。ナッシュヴィル大学数学科のジェイムズ・ハミルトン教授の場合は太股の中に出現した。1835年1月5日、教授は散歩中の左足に激痛を感じ、太股を見るとズボンを通して「炎」が透けて見えた。手の平ではたいて消そうとしたが、その楕円体型の「炎」は消えなかった。そこで、手で取り囲んで「酸素の供給を絶った」ところ、消えてなくなった。帰宅後、傷を調べると、幅約2センチ長さ7〜8センチで、ちょうど「炎」と同じ形をしていた。下着にも同じ場所に同じ大きさの孔が開いていた。しかし、その孔の周辺にもズボンにも焦げ跡は見られなかった。傷はたいへん深く、筋肉の一部がなくなっていて、一ヶ月後にようやく癒えた。

3. クロップ・サークル(ミステリー・サークル)

ある報告によると、ヒマワリ畑の球電が落ちた部分には、直径二〜三メートルの範囲に渡って、何年間も何も生えなかったという。別の報告によると、畑仕事をしていた女性の前50メートルのところにまぶしく輝く球が現れたが、その後、彼女はたいへん気分が悪くなった。彼女から100メートルくらい離れた所にいた別の女性も同様の症状を示した。

※謎の発光体がクロップ・サークルを生成する瞬間を捉えたとされるビデオ。

【参考3】セントエルモの火 - Wikipedia / プラズマ - Wikipedia
- How to make a Stable Plasmoid ( Ball Lightning ) with the GMR
※電子レンジで球電を作れると主張し、その方法を解説するサイト。
- Artifiial Ball Lightning ※今年二月イスラエルのテルアビブ大学研究室で、球電を人工的に発生させることに成功したと発表した。その実験の様子を収めたビデオ。

【参考4】大気発光現象(阪神大震災時における発光現象に関する大槻教授の論文など) / 日本火球ネットワーク

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2006.06.03

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