【Reuters】英米合同の考古学調査チームがこの度、ペルーのジャングル内マチュピチュの近くで1世紀に渡り謎とされてきたインカ文明の新遺跡を発見したとのこと。今回の調査では赤外線航空写真の技術を用いて、ジャングルの内部を一気に撮影。結果、インカ文明の首都クスコから北西80kmの地点、リャクタパタの側に遺跡を発見したという。「今回の発見は本当に重要なものだと言えるね。おそらく遺跡は何らかマチュピチュと関係している事は間違いない。だから今回の発見でまたマチュピチュにも関して色々明らかになるだろう。とても重要な遺跡だよ。」と英代表Hugh Thomson氏は語った。実は今回の遺跡は1912年のマチュピチュ時に発見者のHiramBingham氏によって既に指摘されていたのである。しかしBingham氏はその正確な位置を明らかにすることが出来なかったため、凡そ1世紀に渡って、その存在は知られつつも、ついに発見される事はなかったという。
今回の調査では最初にペルー上空からジャングル内部を赤外線航空写真で撮影、遺跡の当たりをつけた状態でマチェット(ナタ)を用いてジャングルを切り進み、標高2700mの山林側部に面した目的地に到達したのである。そして予想通り調査団はそこで石製の建築物と中央に位置する太陽を祭る寺院、そしてそれを四方数キロに渡って覆う住居群を発見したのである。特に寺院はマチュピチュの寺院に同じくプレデアス星団と夏至の日の出の太陽の軌道に会わせた形で設計されていたという。
「この寺院は儀式上非常に重要だったものだろう。」Thomson氏は語った。また調査の結果、氏の推測では、寺院は単に儀式上として機能していただけでなく、マチュピチュ遺跡の為の穀物庫のような役目を果たしていたのではないかと話した。
インカ文明は1572年、スペインの侵略によって滅亡したといわれる。指導者のトゥパック・アマルは処刑、街は破壊されてインカ人達はその街を放棄したのである。しかしこれまで幾つかの都市は発見されている一方、以前幾つかの遺跡は発見されないままでいる。また一体が濃密なジャングルの中に位置する為、最新技術を用いた発掘も難しく、毎回調査は困難を極める為である。
しかし昨年にもインカ文明の都市のひとつ、CotaCoca遺跡がクスコ西部凡そ100kmの地点に発見されるなど、徐々にその全貌解明への期待は高まっている。
「たった2年間で2つの遺跡が発見された。これはまだまだ探せばたくさん出てくるだろうね。」Thomson氏は語った。
【参考】インカ/ペルーの歴史 | インカ・マヤ文明について詳しいページ | インカ文字は7ビット2進法?
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