【Newsnet5】祝福すべき赤ん坊の誕生。その待ち焦がれた瞬間を前に、 ライアン君の母親、マリエ・ゴンザレスさんが望んだものは、他の親たちと同じただひとつの願い - 健康な子供であること、ただそれだけだった。「何も高望みはしなかったわ。鼻が小さい子がいいな、なんて思ったりもしたけどね。」ゴンザレスさんは出産前を回想して語る。しかし彼女の望みは叶わなかった。初めて自分が産んだ子を目にした時、彼女は驚きとショックを隠すことが出来なかったという。「初めてライアンを見た時、ただただ涙しか出なかったわ。本当に悪夢に思えたの・・・。」彼女の息子、ライアン君は非常に稀な先天的障害であるハーレークイン魚鱗癬という病気を持って誕生した。この皮膚障害は患者の皮膚を通常の7倍から10倍の速度で角化させると言われており、生まれたライアン君の皮膚はまるで鎧につつまれたように硬い鱗に覆われていたのである(写真は出生時のライアン君)。
「彼の体は大きくて、ぶ厚い、ひび割れた鱗のようなものに包まれていたの。それから、全身を包む鱗の割れ目から髪の毛が少しだけ見えたわ・・・。」ゴンザレスさんは語る。
「ライアン君を見たとき、一目で彼がどんな症状であるかを理解しました。そしてその疾病がほとんどの場合において致死性のものであることも認めなければなりませんでした。」出生間もなくライアンを診察した新生児専門医師のブライアン・ソンダース氏は語る。その後ブライアン医師は、まだ誕生後間もないライアン君の治療にすぐさま取り掛かった。
「顔を埋め尽くす鱗のせいで、彼はまるで魚のように口を開けていましたね。」そうブライアン医師が語る通り、ライアン君は硬い鱗のせいで呼吸困難に陥っていた。医師や看護婦らがライアン君の気道を何とか確保し、延命処置を行う最中、ソンダース医師は世界で報告されている同様の症例をくまなくチェックし、ライアン君を救う道を探った。
「そして英国で、同様の症状を持ちながら延命した2歳の男の子のケースを発見したんです。その少年はヴィタミンA誘導剤を用いることで治療に成功したということでした。」
しかしソンダース医師は、アキュテイン(治療薬)をこれまで幼児に対して用いたことがなかった為、投薬を躊躇せざるを得なかったという。しかし医師の躊躇をよそに、ライアンの母親はとにかく出来るだけの事をして欲しいと、ソンダース医師に即座の薬剤投与を求めたのである。「とにかく、出来ることを何でもいいからしてください、ってお願いしたわ。」ゴンザレスさんは語る。
そして投与された薬剤は見事に効果を示し、ライアンの皮膚を覆った鱗は徐々に細かく、薄くなり、また新たな皮膚が角化するのを防ぐことに成功したのである。
しかし、それはそれから始まるライアンの長い戦いの、ほんの序章に過ぎなかったのかもしれない。
「ドアを開けるとき、私はいつだって気を引き締めるんです。その向こうにいる人が自分を見てどんな反応をするか、分かっていますからね。」そう語るライアンは現在、18歳である。現在でも彼の皮膚は通常の数倍の速度で角化していくため、彼は毎日7500カロリーを消費しなければならず、皮膚の手入れはもはや彼の避けられない日課となっている。例えば眠る前にも彼はチューブを通してたんぱく質を摂取しなければならないという(写真は現在のライアン君)。
「私が知る限り、この疾病を持って生まれて、この年齢まで生きているのは、本当にライアンただ一人ですね。ましてライアンがトライアスロン選手であることなど、一体誰に想像が付くでしょうか。」そう語るのは現在ライアンの皮膚治療を行うスーザン・ビオコ医師である。
現在ライアンは二度目のトライアスロン挑戦に向けて、トレーニングを行っている最中である。彼は週に三度はプールで、そして土曜日には海で水泳を行っている。そして練習の後は決まって - 日に7回はそうするように - 大量のローションを皮膚に刷り込むという。またそんな時、彼の皮膚には余りにも酷な海水の痛みを耐えてなお、彼は、笑顔さえ浮かべるのである。
彼の荒れた皮膚を海水がいかに突き刺そうとも、彼の強いストローク、そしてその強い意志は決して負けることはない。
【参考1】ライアン君のスライドショー
【参考2】Harlequin type ichthyosis
ハーレークィン型魚鱗癬(Harlequin type ichthyosis)は、先天的皮膚疾病の中でも最も過酷な症状を示すものの一つで、ケラチン層の角化を以って特徴付けられる。この疾病を持って生まれた幼児は、通常の皮膚ではなく、ダイアモンド型の大きな鱗に体を包まれているような姿である。また鱗のせいで顔の口、耳、目などは異常収縮し、更には幼児の体の動きそれ自体も阻害される。また、鱗は通常の皮膚の働きをせず、しばしばその割れ目からバクテリアなどによる致死性の感染を引き起こす場合もある。
ハーレークィンという呼称は、この疾病の引き起こす激しい角化増殖による幼児の表情、そして体を覆うダイアモンド型の鱗に由来する。17世紀、貴族に抱えられた道化=ハーレークィンはダイアモンドのパターンが描かれた衣装に身を包み、また顔に独特のペイントを施していたが、これらの特徴がこの疾病の角化によって起こる幼児の表情、そしてダイアモンド型の鱗に似ていることが理由である。
また現在、この先天的障害を引き起こす根本的な原因は明らかにされていないが、医療の発達により、幼児は数年から10年にかけて生き延びることが可能になる、と言われている。
【参考3】 「個人的な体験」(大江健三郎 著)
ブラックジャックで昔この病気の話があったな。
祈祷師が蛇の呪いじゃ~とか言っててブラックジャックが皮膚移植で治したんだっけな。 で、その祈祷師も同じ病気だったためブラックジャックにすがりつく話だったかな。
とりあえず管理人さんお帰りなさい。待ってました・・・
って、帰ってきて早速魚鱗癬ですか。写真見てびっくり。
本当にこんな病気があるんだ・・・
管理人様、お疲れ様でした。また、このサイトを楽しませて下さい。
最初に1番上の赤ちゃんを見た時は、全身に金粉を塗っているのかと思っちまった…。
ビタミンA使って、皮膚の新陳代謝高速化させてんのね。
角質化する前に垢にして落とす。と。
美容のシミ取りとかにもVA使われる事があるけど、癌化の恐れあり。
おお、管理人殿、ご無事でしたかw
ご帰還おめでとうございます・・・って
イキナリこれですか?
まぁさすがといえばさすがだがw
更新されてる 記念
ブラックジャックのエピソードを連想する人はけっこう居そうですね
手が荒れやすく柑橘系果物が素手で食えなくなる自分が甘く見えます。
生まれてきた子がいきなりこんなんだったら二重胎児よりショックでかそうだな…。
世間が美容のために肌の角質がどうの言っている一方で、生きるためにここまでせざるをえない人がいるとは。
管理人氏お帰りなさい。
拉致監禁でもされてるんじゃないかとガクブルでした。
これからも興味深いニュースを楽しみにしています。
ライアン君、海水から上がって水分が蒸発して塩分だけが
体に残るときが一番辛そうだな…。
管理人様、視察御苦労様でした。
BJで出てきた魚鱗癬は全身を覆うタイプではなかったけれど、全身の皮膚張り替えでしたね。
実際そんな芸当が可能なのかどうかは知りませんが。
管理人さんお帰りなさい
長の留守、予定が延びてたようで、「すわ、このまま閉鎖か?」
と心配してしまいまった
>>27
>16氏の行っている様に角質が硬化する前に代謝させている
と云う話であれば、常に新しい皮膚(薄い)の為に毛細血管が
透けて居るのでは?
極端且つ大げさに表現すれば赤剥けみたいなモンなんだろうか…?
>>38
それとも、先天性疾患ということなので、遺伝子に
異常のある可能性も・・・
皆さんの書き込み見てるとブラックジャックを
全話見たくなってしまった・・・
>ライアン君、海水から上がって水分が蒸発して塩分だけが
>体に残るときが一番辛そうだな…。
「因幡の白兎」って昔話を思い出した
管理人さまお疲れさまでした。
お帰りなさい(^ー^)
この症状になった子は、皮膚に重度のストレスが与えられていいて、肌の手入れによって皮膚をはがしているので、毛細血管が上皮にはっきり現れてるのでしょうね。
蚊に刺されたりしたら、非常に大変なんでしょうね。
薬って、多くの人のための薬だけでなくて、少数の重度に苦しい人のためにも、あるべきだよね。
>>44
凄くいいこといいますね。
こういう子は可哀相だ。なんていったらいいか分からない。
ココまで立派に育って・・・・
何かに打ち込めることも出来るんだから凄い尊敬する。
昔テレビで重い皮膚病の人が物凄い強い暗示をかけられて何週間かしたら新しい綺麗な皮膚が出てきたみたいなのがやってたけど・・
これはすごいな。 管理人様お疲れ様です。
かつての習慣を取り戻せそうです。
>「ドアを開けるとき、私はいつだって気を引き締めるんです。
その向こうにいる人が自分を見てどんな反応をするか、
分かっていますからね。」
少しだけ気持が解るから、このコメントが泣ける。
比較的重度のアトピーなんだけど、なんだか弱音いってられない気分だなー。
しかし海水入って大丈夫なのかな。
アトピーには海水がいいって言うんで、海水浴行ったことあるんだけど、
死ぬほど痛くて海から出た後も肌がつっぱって、
いっそ殺してくれって感じだったの思い出してしまった…。
管理人さん、帰ってきてくれて嬉しいです~。
更新が無くても、寂しくてほぼ毎日チェックしてました。
しかしこのような病気もあるとは本当にお気の毒・・・。
それ以上に、ここまで成長されてスポーツ選手として活躍中であると知り、生命の不思議・逞しさに感動いたします。
>ブラックジャック
>因幡の白兎
そうだね両方の話を知ってる僕たちには
つらい話だよね
>>55
入館拒否しそうな自分が怖いよ
皮膚を角化させるメカニズムに先天的な異常があるんだろうけど、
遺伝子のどの部位が関与してるのかさえわかれば、遺伝子治療で治せるようになるのかなあ?
>>17
ハーレクインロマンスは、ハーレクイン社が出版している女性向け小説全般のこと。同様の小説を出版している会社でツルーラブがある。
自分高校の時にそれ疑われた事あるけど
いわゆるこういう奴だったのね。
症状としては似てるけど彼程ひどくはなくまぁ
普通の幸せな生活は送れてると思う。
やっぱ気になりますよかなり。
肌荒れレベルだけど自分のは相当なケアを要します。
うんまぁ、とりあえず>>63には是非死んで欲しい。
追い払っても追い払っても肛門にムカデが入ってくる奇病とかで。
結局何でも比較比較でしか測れないアンポンタン。
>>52 >>60 >>71!
超がんばれ!応援しとるけ!マジで!
他人の悪い印象の言動に反応するのは、いつも第三者のみ。
当人はそれこそ死ぬほどに病気について考えている。
街中で自分のような人物をみかけたらギョッとするだろうし、気持ちが悪いという印象を抱く人間がほとんどだということもわかってる。
そして他人は人前では自分のことを必要以上に、違和感が残るほどに「応援する」だの「尊敬する」だの言ってくるものだということもわかってる。
障害をもった人のほとんどがすべてわかってる。
一人が、「気持ち悪い」というのも我慢できる。
一人が、「頑張れ」というのも受け流せる。
けれど、一人に「気持ち悪い」といわれ、そして続けざまもう一人がそいつをクズ扱いしたあと、さも自分が善人であるかのように俺だったらどーの、すごいと思うだの、応援してるだの言われることが一番つらい。
まぁ、私も小児麻痺程度でつらい云々を語るのはどうかとも思うのですがね。
うん、なんていうか知能が正常な分こういうのって
非常に可愛そうなんだよね・・・。
>>73
ごくまれに尻尾はやして生まれてくるのとかいるしね。
魚類は生まれて最初はこんなまともな鱗なんてないけれど
長い間体内で育ったため鱗も発達して生まれてくるというのも
なんとなく理解できる・・・。
いろんな人間がいますね。実際ここのコメント欄にもいろんな価値観をもった方たちがいるわけで。。
自殺をする人もいれば、頑張って生きようとする人もいる。
自殺が悪い、と怒るつもりは無いけど(他人に迷惑をかけなければ・・)
でもどっちが人間らしいって言われたら、誰も正解なんて解らないね。
俺はこういう記事を見ると、いい事か悪い事か判らないけど、
「頑張ろう」って思える。
ハーレークイン魚鱗癬の責任遺伝子が同定されました。http://www.biotoday.com/view.php?n=6558
新しい治療薬の開発に期待したいと思います。