【SandiegChannel】米サンディエゴにて医薬品へのアレルギーが原因で全身の皮膚がただれ落ちた女性が壮絶な手術に耐え、奇跡的な生還を果たしたとのこと。事の発端は三週間程前、サラ・イヤゲインさんが単純な鼻腔の疾病を直す為に抗生物質を呑んでいたところ、突如彼女の皮膚が異変をきたし、最終的に体中の皮膚全てが剥がれ落ちたのである。「彼女は文字通り全身の皮膚を失ったんだ。実際に剥がれていく様は、本当に恐ろしいものだったよ、、。」 奇跡的な手術を成功させて彼女を救ったカリフォルニア大学サンディエゴ校火傷センターのダニエル・ロザノ医師は語った。「皮膚が剥がれ始めたかと思ったら、結局その後は止まることなく皮膚という皮膚全てが剥がれ落ちてしまったんだ。」彼女の症状はひどく、身体の外皮だけでなく、目や口内、喉などの内粘膜まで全てが剥がれ落ちてしまったのである。(彼女の様子を取材したビデオはこちら)
今回この奇病に襲われたイヤゲインさんは一体自分の身体で何が起こっているのか全く分からなかったと語っている。「原因はバクトリムという抗生物質への拒絶反応だ。バクトリム自体はかなり一般的な抗生物質で色んな医薬品に含まれているものだが、稀にこうした拒絶症状を引き起こす。この症状はTENS(表皮壊死症)と呼ばれる非常に危険なものだ。」ロザノ医師は語った。
イヤゲインさんは症状が発症するまで10日間に渡り、鼻腔伝染病用の薬を飲んでいたという。
「最初は顔に小さな腫れ物とシミが出来たわ。その内それが唇と目の上に広がって、最後には顔全体、肩や腕にまで水ぶくれができたわ。」イヤゲインさんは発症当時を思い出して語った。そしてそれから凡そ二日後、彼女の皮膚は全身から一気に剥がれ落ちはじめたのである。
ロザノ医師は、彼女の母親キャサリンに彼女にはまず助かる見込みがない事を伝えたという。
「この症状になって更にそれが全身だった場合、ほぼ100%、患者に助かる見込みはない、って言う事を医師に告げられたわ。彼はもう開き直っていた。私はもうただ祈る事しか出来なかったわ、、。」イヤゲインさんの母親キャサリンさんは語った。
そしてそこからイヤゲインさんを救う為の壮絶な手術が始まったのである。
それはまるで時間との戦いであったとロザノ医師は語る。
「彼女の皮膚がただれ落ち始めてすぐ、我々は48時間ぶっ通しで彼女の身体全てを人工皮膚で覆いきったんだ。」医師たちは皮膚が剥がれた彼女の身体全てをトランサイトと呼ばれる人工皮膚で覆い、更に内出血を食い止める為に彼女に薬物を投与したのである。「手術を終えてやっと彼女は回復に向かい始めた。その後一週間かかって彼女の皮膚は何とか元通りに戻ったんだよ。」
「彼女の症状を考えると、今彼女が生きてるのは本当に奇跡としか言いようがないわ。」彼女をケアした火傷専門のベテラン看護婦メレディス・フランクさんは語った。
そしてその奇跡的とも言える手術の成功で彼女は現在順調に回復しているという。「今はもう大分良くなったわ。やっと普通の生活に戻れそうよ。」イヤゲインさんは語った。
その後彼女は病院から退院し、現在は自宅療養に入ったという。しかし彼女は不可能を可能にした医師達の努力、そして看護婦達の適切な処置を忘れることはない、と語った。イヤゲインさんは彼女のこの一連の出来事が報じられ、この事を知った人々から少しでも病院(UCSD火傷センター)に寄付が集まる事を願っているわ、と語った。
「とにかく皆で祈ったわ。お陰で彼女は今こうして生きているのよ。」
母親のキャサリンさんは語った。
【参考】[厚生省HP] 医薬品・医療用具等安全性情報177号
スティーブンスジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)・薬剤アレルギー・重症型薬疹
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