【AFP】「死海写本(DeadSeaScrolls)」(写真)がこの度、初めてイスラエル国外に持ち出され、現在カナダはモントリオルの博物館で展示されているという。1947年、ヨルダン北西部キルバットクムランの洞窟でベドゥインの羊飼いの少年によって発見された死海写本は、聖書の原本との関連を指摘されている20世紀最大の発見の一つである。同写本は11月までモントリオルで展示され、今後オタワの博物館に移動するという。「死海写本はイスラエル、そしてユダヤ人にとって非常に特別な歴史的財産だよ。つまりモナリザみたいなものだけど、多分それより重要だろうね」今回の展示を企画したイスラエルのエルサレム博物館キュレータJamesSnyder氏は語る。死海写本の断片は現在までに950個見つかっており、それらは全て死海の洞窟から発見されたものである。いくつかは陶器の中から発掘されたもので、また石板も発見されている。またそれらは考古学、神学におけるキリスト教、ユダヤ教の起源にとって計り知れない価値を持った資料であると言われている。
現在モントリオルに展示されているのは全断片中の最初に発見された7枚の断片である。
また当然扱いには細心の注意が払われ、非常に弱い光を1分間に40秒だけ当てるようにして展示され、内2つは紀元前1世紀頃のもので痛みが激しいため、さらに弱い光で展示されている。「2000年も暗い洞窟で眠っていたから物凄く痛んでいるんだ。」とイスラエル博物館の資料保存担当者Michal Dayagi-Mendels氏は語った。
また3つ目の断片はおそらくイザヤ書の断片であると言われているが、空調、湿気を完全にコントロールする箱に入れられさらに厳重な体制で展示されているが、この断片の展示は史上初である。また写本の輸送には専門家が数ヶ月かけて念入りな準備を行ったという。
モントリオルのPointe-a-Callieres博物館学芸員Francine Lelievre女史によればこの世界初の国外展示地に選ばれた事への名誉と、またそれを可能にしてくれたモントリオルのユダヤ人コミュニティと特にシーグラム(現在はVivendiGroupと合併)の元オーナーであるBronfman一家への感謝を語った。また現在イスラエルの博物館の同写本の展示ブースは休止されているという。
また同博物館の「聖書の考古学展」では他にもイスラエル外では初めて展示される物が多数展示されている。例えば聖書の碑文が彫られたザクロの彫刻はソロモンの第一寺院のもので唯一現存する考古物であると考えられているが、それは昔の牧師が儀式の際に用いた杓の一部であるという。
そうした延べ100を超える発掘物は、ダビデ王の時代から紀元70年のローマ人のエルサレム侵入というユダヤ人の歴史をそのまま語っている。紀元前9世紀の石板はダビデ王朝時代エルサレムの第二寺院における高位聖職者の儀式の枠組みなどについても触れているという。
【参考】写本が発見されたクムランの様子
【関連】世界最古の本