X51.ORG : 死者からの顔面移植、その可能性
HOME > MEDICAL > Article

死者からの顔面移植、その可能性

ear_mouse.jpg【Pravda】今から6年前、米ハリウッドで製作された「フェイス・オフ」というSF映画がある。その映画は二人の男の顔面交換をモチーフにしているが、近年の外科医学においてそれはもはや決して空想事ではないのである。英、仏、米の科学者らによれば、既に顔面移植は技術的には可能であるという。もし今後、倫理的、また心理的な問題さえ解決されれば、例えば死者から顔面移植を移植する事さえ可能になるという。英仏共同研究チームの発表によれば、既にそうした移植外科手術は準備段階に入っており、例えば事故や火傷などによって顔をに大きな怪我を負ってしまった人達への治療に死者からの顔面移植手術を応用出来るのではないかと盛んな議論が交わされているという。この可能性について最初に切り出したのは英ロンドン王立病院の外科医ピーター・バトラー氏である。1996年、バトラー氏は人間の耳をウサギの背中に移植するという奇妙な実験に成功(参考:写真は米国で行われたネズミへの移植)し、一躍有名になった人物である。

一年前、彼は今後数ヶ月のうちに顔面移植の第一例が実施される事になると予告したが、現在まだそれは行われていない。またバトラー氏によって開発された薬剤は、患者に移植した顔面の皮膚が顔から剥がれてしまう事を防止するという。またバトラー氏の研究チームは既に死者から顔面の筋肉と皮膚を移植する体系的な手術方法を持っており、それらの特殊な移植技術を用いる事によって、顔面の諸機能はそのままに、死者の顔から切除した口、鼻、あご、など全てを患者の顔に「復元」する事を可能にするという。

しかしまた、実験を行った同病院ではそうした顔面移植は慎重な事前準備無しでは決して成功しない事を強調している。同病院の広報担当者によれば、病院は確かにバトラー氏のチームに顔面移植手術の技術的な可能性を探る許可を与えたものの、当然、その実施の前には倫理的、また心理作用など、技術面以上に大きな問題を議論する必要がある、と話している。

そして来週、これらの問題を踏まえた顔面移植の可能性は王立病院にて議論されるという。

また発表ではその後、更に世論を踏まえた公の討議を経て、ようやく実施の準備に向かう事になるだろう、と話している。事実として、現在こうした手術の実施を待ち望んでいる患者はすでに存在し、英王立病院ではこれまでに10件の手術依頼を受けているという。

また一方のフランスでは既にそうした討議が行われ、現在実施に向けて急速に準備が進められている最中であるという。そして現在、フランスの研究チームは許可さえ降りれば、すぐにでも顔面移植手術を実施する事が出来ると述べている。

しかし実際、顔面移植手術の実施については、社会団体、そして医師の間ですら常に反対意見を浴びているという。彼らの主張は決してその技術的な可能性の可否ではなく、それが果たして本当に必要であるかどうかという問題である。

「Let's Face It」という団体に所属するクリスティーン・ピフさんはこれまで25年間に及び、顔面に人口装置を取り付けて生活している。彼女はこれまで幾度かの討議に参加し、その中で、確かに他人の顔をつけて生きていく事はどういう事なのか、今の段階では全く想像がつかない、と話している。つまり、これは決して倫理的な問題だけでなく、患者に与える心理的な恐怖感などについても全く未知であるため、当事者はもちろん、医師達にとっても手術後、どのような状況が発生するかを想像する事は不可能なのである。

更にまた、ウィーン大学の医学部教授ルパート・コーラー氏はこの問題を受けて、手術後の免疫系統の反応を予測する事も不可能であり、その為例えば術後に患者の身に不測の事態が起こった場合、手や腕の移植ならばやり直しが可能であっても、顔面移植となると決してやり直しが出来るものではないという事を指摘している。

また全く違う別の問題として、犯罪への応用性がある。例えばもしこの顔面移植が可能になった場合、テロリストや犯罪組織の人間が、顔面を完全に変えて追跡を逃れるというような事は決して夢物語ではなくなるのである。

【参考】有名人の過去と今一覧 | マイケルジャクソンの顔の推移

【関連】瀕死の少女に男性が心臓提供を申し出 ルーマニア | 子宮移植:男性の妊娠に可能性 | 6ヶ月に渡る全身美容整形に挑戦 中国

HOME > MEDICAL > Article
SEE ALSO
;
COMMENTS (3)
1.  69  2004/09/02 11:12:07 [RES↓] [TOP↑]

ブラックジャックの話の中に、憎い相手の顔を移植して生きていくという話があったな。でも、母親はちゃんと息子のことをわかったんだっけなぁ。心理と表層というのは、永遠のテーマだよね。

>>人間の耳をウサギの背中に移植する
ウサギではなく、ねずみでは?

2.  Pika  2004/12/08 00:23:52 [RES↓] [TOP↑]

ナイトライダーの主人公みたいな話になりそうですね。

3.  ケレンハハパッチ  2005/12/02 16:00:05 [RES↓] [TOP↑]

参考写真のマウスは、ティシューエンジニアリング(再生医学)の実験だったと思いますが。

PAGE TOP | HOME | CATEGORY:MEDICAL

X51.ORG

CATEGORY

SEARCH

ARCHIVES


;
HOME | EARTH | ANIMA | ANAL | ENEMA | FILES | CONTACT | RSS

2003 - 2014©X51.ORG RIGHTS RESERVED.