【BBC.UK】今からおよそ100年程前、英国に在住しエレファント・マンと呼ばれたジョセフ・メリック氏の疾病の全貌が科学者によって解明されたかもしれないとのこと。ジョセフ・メリック氏は1862年、英国はレイチェスターに生まれた。5歳の頃から変体の兆しが現れ、10歳になる頃には目に見える形で変体し、その特異な姿から周囲に敬遠され、友達、そしてついには両親にまで見捨てられてしまう。その後、彼は全国を行脚するサーカス団に見世物小屋のフリークスとして参加し、広くその存在を知られるようになる。そして20代半ばに彼に興味を示す外科医と出会い、彼はロンドンの王室病院へ入院、27歳にしてそこで息を引き取った。(写真上はメリック氏の姿を3Dで再現したもの。右図は彼が疾病に罹っていなかった場合の予想モンタージュ)
その後、彼の特異な変体を巡って様々な医者や科学者が諸説を論じたが、その原因は凡そ100年に渡って謎とされていた。しかし今回国際的に組織された科学者のチームによって彼の毛髪や骨からDNAサンプルを採取し、調査、研究し、その原因を解明したのである。
研究団によればメリック氏は二つの病気を併発していた可能性が高いという。ひとつは第一種神経線維腫症、もうひとつはプロテウス症候群と呼ばれるもので、その2つの病気のコンビネーションが引き金となって彼の外見に変化をもたらした推測している。
第一種神経線維腫症(type1 neurofibromatosis[以下NF1])は遺伝子の配列異常を原因とする疾病で、体の各所に腫瘍を作り、骨が肥大化する症状を引き起こす。またもう一方のプロテウス症候群は先天性の病気で頭部や手足の異常発達をもたらす疾病である。しかし、これで彼の変体の謎が全て解けたわけではない、と研究者は語る。
「これまでの研究で言われていた通り、彼がプロテウス症候群を患っていた事はまず間違いあえりません。しかし彼がNF1を併発していたかどうかについてはまだ確信が持てません。生前の彼の写真と彼のデスマスクを見る限り、単なるプロテウス症候群の患者であったとは考えにくいんです。何かを別に併発していたと思うんですが、まだ本当のところは分かりません。」オハイオ州立大学で癌遺伝子研究所のチャリス・エング医師は語った。
研究チームはメリック氏のDNAサンプルを今後も保管し、更に調査を続行する予定であるという。
【関連】X51.ANIMA : ジョセフ・メリック ― エレファントマン
【参考1】“エレファントマン”を再診断| ジョセフ・メリック追悼サイト
あの時代だったから伝説になった。現代に生まれていたら、どこにも出されずにひっそりと消されていっただろう…現代はちょっと顔がやけどしてるだけでも化け物扱いだもんな。