【Independent.co.uk】アルタイはシベリアの過疎村にて犬に育てられた少年が発見されたとのこと。アンドレイ・トルストイク君(現在7歳)は、生後3ヶ月で両親が家を出て以来、犬と共に暮らしていたところを、学校に登録されていない事を不審に思った保護局職員が家を訪れ、発見されたという。職員の話では発見されたアンドレイ君は生後ほとんど人間との接触がないことから、喋りはおろか、歩く時は常に4本足で、人に噛み付き、また食事の前は犬のように匂いを嗅いで食べるなど、凡そ人間とはかけ離れた行動様式を持っていると話している。
アンドレイ君はまるでジャングル・ブックに登場するマウグリよろしく、これまでの人生のほぼ全てを動物と過ごしており、また近所の住民からはその存在をほとんど忘れさられていた。彼の母親はまだアンドレイ君が三ヶ月の時に蒸発し、残された父親もまたアルコール中毒で、結局少年を置き去りにしたまま家を出た。
しかし少年が発見されたベスパロフスコヤの村落は過疎がひどく、離れた場所に住むいくらかの村民らも彼の家から両親が消えたことも知らぬまま、徐々にその家自体が忘れらさられたという。こうして人間との接触を失ったアンドレイ君は、唯一側にいた生き物である家の番犬に懐ついたのである。また医師は、アンドレイ君は生まれつき言語障害と難聴を抱えていたが、両親は家を去る前、アンドレイ君にそうした症状を改善するための何のも努力もしていなかったと話している。
ロシアのメディアにて「犬少年」として報じられているアンドレイ君は現在、孤児院に収容され、他の子供達とコミュニケーションを取るべくリハビリを受けている。
孤児院の職員がRIA-Novosti局に語ったところによれば、アンドレイ君は当初、他の子供達に対し恐怖を抱いており、突発的で攻撃的な行動を取ったり、食事の前は必ず臭いをかいでいたと話している。しかしそれから二週間を迎えた現在、少年は徐々に基本的な手話のようなコミュニケーションを覚え、また二本足で歩く事、スプーンを使って食事をすること、ベッドメイキング、ボール遊びなどを覚え始めたという。更に他の孤児らも現在はまだアンドレイ君に対していくらかの猜疑心を抱いているものの、アンドレイ君と同じく簡単な手話でコミュニケーションをする少女との間にいくらかの友好が芽生えたようであると話している。
少年のリハビリにあたる医師らは現在アンドレイ君が人間の行動を学習できるかテストしている最中である。そしてもし見込みがあれば、アンドレイ君を今後別の孤児院へ送り、またもし無理そうであれば特殊な全寮制学校へ送る事を決定している。また警察は現在少年の両親を探し、逮捕する予定であるとしている。
またこうしたアンドレイ君のような「野生児」のケースはこれまで何度かロシアで発生している。1988年にはモスクワの近くでイワン・ミシュコフ君(当時6歳・写真)が野良犬の群れと共に暮らしていたところを保護されている。イヴァン君は4歳の時にアルコール中毒の父親の虐待を逃れるため家出をし、その後野良犬にいくらかの食物を与えることで彼らの信用を獲得し、野良犬と共に行動するようになった。そして野良犬はその代わりにイワン君を寒さや外敵から守り、発見された2年後にはイワン君が群れのリーダーとなっていたのである。警察はレストランのキッチンに餌をおいてイワン君を誘き出し、凡そ1ヶ月かけて何とかイワン君と犬達を引き離すことに成功したと伝えている。
【参考】FeralChildren.com:野生児などの情報を集めたサイト(再掲)