【ManchesterOnline】英ウォリントン在住のリサ・ホジキンソンさん(29)が、自動車(BMW)に轢かれた瀕死の少年を助けるために、一人で車を持ち上げて少年を救出、「驚異の女」として一躍有名になったとのこと。その日、ジャン・リュック・アーチャー君は兄弟と共に道路を横断中、走ってきた自動車と衝突。最初、ジャン君は自動車の前輪に巻き込まれ、1回転してそのまま今度は後輪の下敷きに。ジャン君はその時に骨盤及び、両腕、足を骨折する大怪我を負ったのである。また、その際、車の運転手はブレーキを踏んだまま恐怖で硬直してしまったため、ジャン君は自動車に踏みつけられたまま数分が経過したという。そしてそこを丁度車で通りかかったリサさんは事故を目撃するなり、すぐに車を道路脇に止め少年のもとに駆けつけたのだ。しかし、彼女は運転手が硬直しているのを確認すると、自ら車を持ち上げて引っ張り出す以外に少年を救出する方法が無い事を悟ったのである。(写真はリサさんと救出されたジャン君)
「車はジャン君を踏みつけた状態で停止してたわ。運転手は硬直してパニックになっちゃてるし、だから私は持ち上げて押しのけるしかないって思ったのよ。ほんっとに重かったわよ。運転手はブレーキを踏んだままだしね。どこからかあんな力が出たのか分からないけど、自分でもものすごい力だったと思うわ。それで何とか車をどけて、すぐにジャン君の鼓動を確認したの。心臓は動いていたんだけど、呼吸が止まってたからとにかくすぐに人工呼吸をしたのよ。」と彼女は語った。
「ジャン君は見る見る悪くなっていて、本当のところ死んでしまうんじゃないかと思って不安だったわ。でも諦めないでとりあえず救急箱を借りて、昔習った応急処置をしたのよ。それで救急車が来るまでとりあえず彼の頭を支えるようにして抱いていたの。本当は物凄く恐ろしかったわ。でも多分、恐怖よりも助けたいっていう本能が勝ったのかしらね。とにかく何をすべきかそれだけに集中したけど、正直なところ、もう助からないのかしら、とも思って、大分焦ってたと思うわ。」と語った。
そしてその後到着した救急車によってジャン君は一旦近くの病院に搬送されるも、様態が酷かったため、すぐにマンチェスターの総合病院に運ばれ、5時間に及ぶ緊急手術を受けたのである。そして少年はその後4日間に渡って意識不明の状態が続いたものの、何とか一命は取りとめ、奇跡的に回復したのである。少年は現在尚入院中であるものの、意識ははっきりとしており、著しい回復を見せ、5週間後には退院できる見込みであるという。
そして更に驚くべきことに、リサが人命を救ったのはこれが初めてではないのである。彼女は昨年にも道路上でトラックのドライバーを救出し、名誉市民賞を受賞しているのだ。
ジャン君の母親マギーさん(34)は、取材に対し語った。「本当にリサには感謝してるわ。今ジャンが生きてるのは間違いなくリサのお陰ね。実際、あの時、彼女がした方法以外にジャンを助ける方法は無かったと思うわ。彼女は今では”驚異の女”なんて呼ばれてるけど、本当にその通りよ。」
またジャン君の祖父、グラハム氏も語る。「本当に言葉がないね。何てお礼を言っていいか分からない。事故から4日目、ジャンが病院で意識を取り戻した時にはみんな涙を流してくれてね。とにかく、本当に良かった。」
彼女は今回、迅速な対処、そして応急処置だけでなく、車を運転中、事故を目撃するなり先にすぐに救急車を呼んでいたのである。「リサは本当によくやったわ。それ以外言葉がないわよ。彼女は的確に動いて、少年を救った。今回の事を聞くとみんな驚くわ。本当にそんな事が出来たのかってね。」救急隊の職員は彼女の的確な処置を称えて語った。
【関連】世界最速のおばあちゃん | 公衆電話に指が挟まる→電話丸ごと破壊して救出
死刑囚への愛に狂った54歳女性ハイジャッカー 前編 | トランポリンでクマちゃんを救出