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メッセージ・フロム・ロジャー 前編

roger.bmp【St.PetersburgTimes】独立記念日の先週7月4日、ドン・スミスはちょうど孫達と遊んでいる時にそれを発見した。彼は最初そのボトルらしきものをよくあるゴミかと思ったが、ボトルに何かが書かれているのを発見し、ゆっくりと魚網から取り離した。ボトルに書かれたかすかな文字は「PEPSI」だと辛うじて判読できたが、もう一方は既に藻にまぎれて明らかではない。蓋の部分には中に決して水が入らないようにしたのか、黒いテープがしっかりと巻きつけてある。そしてしばらくそのボトルを眺めている内、彼はその中にある紙を発見したのである。

学校のノートから切り取られたような青い罫線入りのその紙は丁寧に折りたたまれていたが、既に日光で大分痛んでいる。彼はそれをゆっくりとボトルから抜き出すと、テーブルに広げた。「もしも誰かこの手紙を見つけたら、僕に手紙を書いて教えて下さい。 Roger.J.Clay Linwood Ave.,Fairfield,45014」まだ幼い、覚束ない筆跡でその手紙は書かれていた。

「何だか奇妙じゃないか?」ドンは妻のキャロルに言った。
彼らはその住所を知っていた。彼らの住むCincinnatiはFairfieldからおよそ25マイル程の場所で、彼らの息子SeanはFairfieldで働いていたからだ。そしてふとそのボトルの底に目をやるとそこに日付の書かれた紙片を見つけた。「1984/12/27」、ボトルはおよそ19年間にも渡って暗い水の底に沈んでいたのである。ドンは義理の妹にその手紙を見せた。彼女は小学校の教師でそうした子供の文字を見慣れているからだ。そして彼女は手紙を見るなり、多分7つか8つの子供じゃないかしら?と話した。もし彼女の推測が正しければ、手紙の差出人Roger.J.Clayは今多分、26か27という事だ。

「差出人を見つけて、この手紙を見つけた事を教えてあげない?だって、なんだか素敵じゃない?」
「そうだね。やってみようか。」ドンはうなづいた。
「でも、19年ってのは、随分長いからなあ、、、」

その晩、独立記念日を祝う花火を十分に楽しんだドンは早速パソコンに向かった。彼は差出人の名前をインターネットで検索してみたが、とうとうRoger.J.Clayを見つけることは出来なかった。しかし彼は代わりにこんな名前を見つけたのだ。"Roger.K.Clay, 890 Linwood Ave.,Fairfield, Ohio."。彼はそのリンクをクリックし、更に彼について調べた。彼は今49歳で、住所は手紙の少年のものと全く同じだ。「彼の父親に違いないな、、。うーん、ちょっと分からないけども、この情報が確かなら彼はまだ同じ家に住んでるみたいだ。ほんとに、何が待ってるっていうんだ?」キャロルにそう話すなり、ドンは彼の電話番号を探してみたが、見当たらず、とりあえず彼に手紙を出してみることにした。
「フロリダはSt.Petersburgの我が家のそばであなたの息子が書いたボトルに入った手紙を見つけました。ひょっとしたら探しているかなと思いまして。」

彼はその手紙を翌朝の土曜に投函した。
そして月曜、彼は地元ローカル誌のSt.Petersburg Timesに連絡したのである。

「ほんとに信じられないね。ほんとにそんなに長いことタンパ湾の中に眠っていたのかな?ってね。だって、19年だよ、19年。」彼らは電話口で記者に話した。電話を受けた新聞記者CarynBairdは会社に戻るとすぐにデータベースからRoger J.Clayを検索してみたが、彼の名前を見つける事は出来なかった。彼女は続けて社会保障のデータベースから彼の名前を検索し、ついに彼の名前をそこに見つけたのだった。

「彼は、既に亡き人だったの」彼女は話した。

それからすぐに彼女はその時の新聞記事を発見した。
「21歳の誕生日を迎える9日前、Roger J.Clay氏は買ったばかりのスズキのバイクに乗って家路に向かっていた。途中、バイクが突然左に逸れ、道路脇にバイクごと衝突し死亡。警察はいまだ事故原因について探っている。」
その事故は1998年7月10日に発生していた。つまり今から5年前の出来事である。

そして彼女は再びドン氏に連絡し、彼の死と、そのニュースの事を彼に伝えた。彼は絶句した。
「ああ、、なんてことだ、、、。何て言ったらいいかわからないよ、、。この坊やにそんな事があったなんて、、、。」電話口で彼は涙を必死にこらえ、言い様のない感情に混乱しながら、しかし決心した。この子の両親を探し、必ず手紙を届ける決心をしたのである。「この手紙が彼ら両親にとってどんな意味を持つか想像して欲しい」ドンは話した。

それからまもなく記者のCarynはRogerの父親の新しい住所と電話番号を見つけ出した。そして彼女の母親と思しき女性の住所と電話番号も探しだした。彼らは既に離婚していたのだ。そして彼女はそれをドンに伝えた。そして30分後、ドンは再びCarynの元に電話をかけてきた。

「多分、信じられないと思うだろう」彼は最初に前置いた。ドンの話によれば、彼はまず父親に電話をしたが彼は出なかった。ついで母親と思しきLisa M.Fergusonの方に電話をかけてみると、今度は女性が出た。しかし、そこにLisaはいなかった。電話口の女性はLisaの姉妹だったのである。「何か用かしら?」ドンはとりあえず彼女に電話した事情とここまでの経緯を全て話した。彼女は唖然として
「何てことなの、、。でもLisaは今、ここにいないわ、、。Rogerの事故があった季節になると、彼女はそれを思い出すのが我慢できなくて今でも毎年この時期は家を離れてしまうのよ、、。」
そう話すとドンにLisaの携帯電話の番号、そしてLisaがフロリダのSeminoleにいる事を伝えた。

Lisaの携帯電話が鳴ったのは丁度彼女がプールからあがり、彼の旦那アルとホテルの部屋で涼んでいた時だった。

そして、ドンは彼女にボトルの事を伝えた。
彼女は泣き叫んだ。彼女はその事を覚えていたのである。
彼女は息子がその手紙を書いていた日の事を今も、はっきりと記憶していたのである。

RogerとLisa、そして彼の父親はClearwaterでクリスマスを祝っていた。まだたった7つのRogerは釣りをしながら桟橋ではしゃいでいた。そしてRogerは釣竿を放り投げて、今度は紙に何かを書きつけたかと思うと、今度はそれを空けたばかりのペプシのボトルに入れ、釣り道具箱から取り出した黒いテープでしっかりと封をしたのだ。そしてRogerはそれを桟橋から海に投げ込んだ。LisaはRogerが箱を散らかしたのを叱った事までありありと覚えていた。Rogerは快活で、元気な子供だった。彼はスパイダーマンのように格好で壁を登る真似をするのが大好きで、父親と一緒にリス狩りに出かけるのが大好きで、そして何よりバイクが大好きだった。魚釣りに飽きると、そのペプシのボトルを海に投げ込んだ。母親が叱るのもまるで気にしない様子で。

そして今、19年の時を経て、その電話は鳴った。
電話口の顔も見知らぬその人は、彼女の、そして息子の、思い出を抱いていた。

「私はここにいるわ、、。Rogerの死を少しでも忘れたかったのよ、、。でも、彼は私にメッセージをくれた。素晴らしい贈り物を残してくれたのよ、、、。」

Lisaはドンに会いたいと話した。彼女はそのボトルを抱きしめ、その手紙に触れ、そしてRogerのまだ幼いその筆跡を指でなぞりたかったのだ。

そしてドンももちろんLisaに会い、彼女の口から少しでもRogerについて話を聞きたかった。
そして彼らは火曜の夜7:30、夕食に会う事を約束した。

【続く】メッセージ・フロム・ロジャー 後編

2003.07.11

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COMMENTS (2)
1.  dai  2005/01/04 23:28:03 [RES↓] [TOP↑]

感動

2.  匿名  2005/07/14 03:31:56 [RES↓] [TOP↑]

せつないけど、いい話~。
書いた本人に渡せたらどんなにか喜んだでしょうね。

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