【Mirror.co.uk】英国のタブロイド、ミラー紙において"独占取材"としてピアノマンがついに正体を明らかにしたという記事が掲載された模様。同紙は以下のように伝えている。これまで4ヶ月に渡って沈黙を続けたピアノマンが遂に自白、偽物であることが明らかになった。更にまた、最後に行われた報告では、”実際にはピアノマンはピアノを一切弾くことさえ出来なかった”といった情報も伝えられている。そして今、ピアノマンは彼を保護していた精神病院スタッフに対し、自分の正体をついに明らかにした。彼は、ドイツ出身のゲイだったのである。
(参考:これまでの経緯はこちら)
ピアノマンが語った彼の正体は次のようなものである。
ピアノマンのの父親はドイツで農場を経営し、彼の他に二人の姉妹が居た。今回英国で保護される以前はパリで働いていたが、失職し、ユーロスターに乗車して英国へと向かった。そして4月、彼は英国の海岸で自殺しようとしていたところを警察に保護されたという。
そしてこれまで4ヶ月に及んで世界を騒がせ続けたピアノマンは、先週土曜、ついにドイツへと帰国した。彼を世話するために莫大な予算を費やした英国の病院は今後彼を起訴する予定であるという。また医師によれば、ピアノマンはかつて精神病院で働いていた経験があり、そこで覚えた患者達の特徴を真似しながら、彼独自の症状を作り上げることで、医師達を騙し続けてきたと推測している。
彼を収容していた英国ケントはダートフォード、リトルブルック病院の内部関係者によれば、先週金曜、ピアノマンは突如としてその口を開いたという。
「先週の金曜ですが、看護婦が彼の病室に入ってこう訊いたんです。”今日こそは私たちと喋ってくれるかしら?”。するとピアノマンは突然こう答えたんです。”ああ。話してみようと思う”。我々は本当に驚きました。彼は数ヶ月に渡って我々の元にいながら、それまで何ら情報が掴めなかったんです。一時は、ひょっとしたら彼は今後、この病院から出られないのではないかと思いました。」
そしてまた、ピアノマンは発見されて間もなく、スタッフに渡された紙にピアノの絵を描き、それから病院のチャペルにおいて”驚くべき才能”でピアノを演奏したと伝えられた。しかし今回の情報によれば、実際には、ピアノマンはたった一つの鍵盤を繰り返し叩き続けていただけであったというのである。そしてまた今回の自供によれば、彼がピアノを描いた理由は”ただ単にそれが最初に頭に浮かんだから”であると話しているという。
病院関係者は次のように語っている。「彼の話によれば、彼は警察に保護された時、自殺しようとしていたということです。その時、彼は確かに心神喪失の状態にあり、警察に何ら喋らなかったのです。そしてそこから全てが始まったわけです。
現在、我々は彼がかつて精神病院で働いていたことを突き止めました。そして彼はそこで患者達の特徴を覚えていたため、それを真似することで、医師達を騙し続けていたんです。二人のベテラン医師さえ騙されていました。
彼の家族はドイツにいて、農場を経営する父親と二人の姉妹と共に暮らしていたそうです。また彼は自分がゲイだったことも告白しました。
また彼が紙にピアノを書いた理由は、それがただ最初に頭に浮かんだからだそうです。またこれまでに成された多くの報道とは全く裏腹に、彼はピアノを上手く弾いたことなど一度もありません。ただ単にひとつの鍵盤を叩き続けていただけなんです。そしてまた彼は"全くピアノが弾けないこと"を既に認めています。」
2005年4月8日、その日海岸を彷徨してたその男は、年齢20代から30代、身長180cm程で心神喪失の状態にあり、警察に対し一言も発することはなかった。男は一端ケントのジリンガムに運ばれ、後にダートフォードの精神病院へと護送された。その後ピアノマンの話題は世界中を席巻し、ドイツから日本までの報道関係者が病院を訪れ、行方不明者連絡会のもとには数千件に上る電話や手紙が寄せられることになった。
そしてその中から得られた有力な情報 ― フランスのミュージシャン説からチェコのピアニスト説など ― に基づき、ピアノマンの正体を突き止めるべく情報収集が行われたが、彼の身元はおろか、名前さえ明らかにはならなかったのである。
後に男は何らかの心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苛まれていると診断され、更には自閉症の症状であるという推測が行われた。そうした自閉症者の中には、ピアノマンのように何ら外部とコミュニケーションを取ろうとしない一方で、数学や絵画などに驚くべき才能を発揮する人々がいることで知られている。また保護された当初、ピアノマンの衣服からはラベルが全てちぎり取られ、靴のブランドラベルさえ擦り消されていたが、それもまた彼が自閉症者であるという推測に繋がったのである。
また一時は、ピアノマンは声帯が機能していないのではないかという推測も行われた。そうした声帯麻痺という症状は脳挫傷やムチ打ちといった首の損傷によっても引き起こされる場合がある。そしてピアノマンは(発見当初、スーツが濡れていたため)航行中の船から脱落し、そこで首や脳を痛めたのではないかという推測が成されたのである。
また更には、ピアノマンは手渡された地図にオスロを指さし、ノルウェー語の通訳者から話しかけられた時に僅かな反応を示したことから、アイルランドからノルウェーに渡った留学生、ドミニクなる人物であるという推測も成された(これは本物のドミニク氏本人によって否定された)。また一時はチェコのピアニスト、トマス・ストルナドであるという推測も行われた(しかしこれも後にストルナド氏本人がチェコのテレビに登場し、否定した)。
しかしそれらはいずれも真相にはたどり着くことはなかった。そして先月、いよいよ噂されたピアノマン詐欺師説に対し、ケント西部のNHS関係者はその推測を明確に否定し、次のように語ったのだった。
「彼は今でも非常に弱っており、神経質な状態が続いています。彼が嘘つきであると思える要因は全くありません。」
また更に、英国自閉者協会の医師、ジュディス・グールド氏は次のように語っている。
「彼の姿は、我々が知る自閉症患者の姿とほぼ一致しています。また絵画やピアノを延々と続けることや、衣服のラベルを切り取る行為も、彼が自閉症患者であることを連想させるものです。また彼は人のことを、じっと見つめる傾向がありますが、それも我々がよく知る自閉症患者の症状です。」
英エジンバラ大学臨床心理学者のステファン・ローリー氏は次のように語っている。
「この種の緊張型症状を見せる患者は統合失調症か自閉症の可能性が高いでしょう。彼の場合においては、自閉症の症状である可能性が非常に高いと思われます。あるいは慢性的な鬱症状である可能性も考えられます。」
社会福祉士のマイケル・キャンプ氏はこう語っている。
「彼は非常に緊張しているので、側に近寄ることさえ出来ません。」
伝えられるところによれば、昨日までにNHSは既にその独自の調査を終えたが、未だピアノマンの正確な身元は公表していない。しかし今後、彼に費やした莫大な予算と時間の補償を求め、"ピアノマン"を告訴する予定であるという。
【Telegraph】ピアノマンがアンドレアス・グラッスルという名の人物であることが明らかになった模様。またようやく再会した父親のジョセフ・グラッスル氏(46)はこれまで凡そ4ヶ月間、農業で忙しく、テレビを見ることがなかったため、息子が世界中の話題になっていたことなど全く知らなかったという。しかしまた、息子が精神病であったことは明らかであり、現在、世界で報じられているように詐欺師であるとは到底思えない、と語っている。
「とにかく息子の健康と、精神状態が心配です。息子は詐欺師ではありません。ただ、息子の身に何が起こったのか、我々にもさっぱりわからないんです。何か特別に悪いことがあって、息子がああなってしまったのか、今は何も分かりません。」
ジョセフ氏は現在、妻のクリスタ(43)と娘のカサリン(22)、レジヌ(16)と共に暮らしている。しかし彼らのいずれも、まさかアンドレアスがピアノマンとして世界で騒がれていようとは、まるで知らなかったという。
「25年間、ただ精一杯農業を営んできただけなんです。テレビや新聞など見ている暇はありませんでした。私たちはこれまで月に一度は携帯電話で喋っていたんですが、いつからか連絡が取れなくなったので、今年の5月、行方不明として警察に届け出たんです。」
ジョセフ氏によれば、息子との連絡が途絶えたのは今年三月の事であるという。そして昨日、数ヶ月の別れを経て、ついにアンドレアスは生まれ故郷であるプロスドルフの村に帰宅した。彼の村はニュルンベルクから凡そ二時間、五十世帯が暮らす小さな村である。そしてこれまで、ジョセフ氏はアンドレアスが自ら認めた事実 ― すなわち彼がゲイであったという事実については何らコメントしていない。しかし、彼らの暮らす保守的なカトリックの小村において、この事実が衝撃的であることは想像に難くない。
グラッスル氏の弁護士、クリスチャン・バウマン氏によれば、ジョセフ氏は先週末、はじめて(ピアノマンとしての)息子の写真を見せられたが、それでもまだピアノマンが息子であると認識することが出来なかったという。
「写真では彼の髪はブロンドではなく、白髪でした。そして彼がいつもかけていた眼鏡をかけていなかったからでしょう。また彼がゲイであったという事実については、彼らは特にコメントしていません。が、私自身は彼がゲイであるとは到底思えません。」
更に、バウマン氏によれば、身元発覚後に報じられたように、アンドレアスがピアノを弾けないという事実はおそらく間違いであると指摘している。
「彼は家にいたとき、独学でキーボードを練習して、幾つかの曲を弾けるようになっていました。だから実際にピアノは弾けると思いますが、プロ級というわけではないと思います。」
また幼い頃のアンドレアスを知る、かつての友人によれば、彼は学校では非常に優秀な生徒であったという。特にフランス語と生物学に長じ、昨年は幾つかの科目で優れた成績を残していたと語っている。
「しかし彼は卒業証書も受け取らず、何も言わず社会奉仕活動を行う為にザールブリュッケンへと旅だってしまったんです。」
更に友人によれば、アンドレアスはまた熱烈なネットユーザーであり、チャットルームでは「スキャットマン」のハンドルネームで知られていたという。
その後、ザールブリュッケンの病院での奉仕活動(徴兵制を免除するための奉仕活動)を終えた後、アンドレアスはフランスへと飛び、そこで幾つかの仕事を転々とした。父親と弁護士によれば、その頃にアンドレアスに精神障害の兆候が見られ始めたという。そして間もなく、アンドレアスはフェリーと電車を乗り継いで単身渡英、今年四月、シェピーの海岸を歩いていたところを、発見され、「ピアノマン」と呼ばれ、世界中を騒がす存在となったのである。
またその後伝えられたアンドレアスが自殺未遂を計ったという点について、弁護士のバウマン氏は次のように語っている。
「彼に聞いたところでは、彼はそのとき自殺しようとしていたか、どうか、覚えていないということです。しかしビショ濡れのスーツで発見されたということだけは、明確な事実だそうです。」
また彼らグラッスル家の隣人は今回の報を受け、次のように語っている。
「まさかピアノマンが、私たちの側で暮らしていたあのブロンドの、優しかった少年だったとは夢にも思いませんでした。とにかく今は誰かの世話が必要でしょう。しかし彼がもしゲイであったとしたら、この保守的な村、そして彼らは敬虔なクリスチャンの家族の中で、彼の存在は複雑になるかもしれません・・・。」
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