【TVNZ】フィジーにて、幼い頃にニワトリに育てられた男性が、現在人間として生きて行くべくリハビリを受けているとのこと。現地では「チキンボーイ」として知られるサンジト・クマールさん(32・写真)は20年前、道端でニワトリのような動きをして物をついばんでいるところを保護され、最近になるまで施設のベッドに縛り付けられていたという。クマールさんは幼い頃に両親を亡くし、その後祖父によってニワトリ小屋に監禁されていた過去があり、その出来事が彼の行動を決定づけてしまったと推測されている。そしてクマールさんは現在、子供の頃にニワトリから学んだ動き方の全てを忘れ去るべく、行動学研究学者のエリザベス・クレイトンさん(彼女の亡夫は登山家のロジャー・ビューイック、1998年にエベレストで死亡)に教育を受けている最中である。
彼女の話によれば、クマールさんは当初、非常に凶暴で手に負えなかったと話している。「最初は、私を口でつついたり、引っ張ったり、爪で引っ掻いたりしてきました。しかし、今では私に対してとても優しくなったんです。おそらく彼は今、情緒的にも随分成長したはずです。」
現在まで、クマールさんが一体いかなる少年時代を送ったのか、その詳細は明らかではないものの、おそらく、クマールさんはまだ幼い頃にまず父親によって小部屋に監禁され、両親が死んだ後は(父親は殺害され、続いて母親も自殺した)、今度はクマールさんを引き取った祖父によって6歳から9歳までの間、ニワトリ小屋に監禁されていたと推測されている。
そして今から約20年前、クマールさんはニワトリ小屋を脱出したものの、道端でニワトリのような動きをしているところを福祉職員に保護され、老人ホームに強制収容された。しかし、施設に連れて行かれるなり、クマールさんはニワトリから教わった所作 - 食事をついばむようにして食べる、ニワトリのように飛びながら動きまわる、腕をニワトリの羽のような形に折り畳む、そしてニワトリのように鳴くこと - を見せたため、以降最近に至るまで、長期間に渡って施設のベッドに縛り付けられていたのである。
その後、エリザベスさんが彼の面倒を見る事になり、これまで凡そ1年間に渡って教育を続けた結果、現在では精神障害の兆候も消え、トイレの方法を覚え、ついばみといった動作も止め、また他者とコミュニケーションする方法もゆっくりと覚え始めるなど著しい成長を見せているという。
しかし現在でも尚、クマールさんはい時折ニワトリにしか通じないような言葉を喋ったり、手が内側に丸められたままであったり、人の言葉がほとんど分からないといった様々な障害を抱えながら施設にて生活しており、通常の生活を送れるようになるまでには、まだ随分時間がかかりそうであるとエリザベスさんは話している。
※ビデオはこちら、もし上手く見られない場合はこちらのクマールさんの写真下のリンクから
【参考】狼少女アマラとカマラ | オオカミに育てられた少女”は実在したかより
(前略)総合的にみて,オオカミが人間の子供を養育するとはとても考えられないし,不可能だろう。「その地方では,子供達を幼い時,特に女の子だったら遺棄してしまうことが珍しくない。」14)彼らが正常な赤ん坊でも簡単に遺棄してしまうのであったなら,もっと大きい子供でも(自閉症児みたいに)赤ん坊のように振舞う子だったら捨てられただろうし,とても異常だと思われる子だったら捨てられたに相違ない。15)これらの点を踏まえて考察するならば,アマラとカマラは保護された時にはオオカミと一緒だったかも知れないが,“オオカミに育てられた”のではなく,その直前に“オオカミの群れにまぎれ込んだ”と考えるのが妥当だろう。二人の示した動物的行動も,人間社会から隔絶された状態に長くいた『野生児』注3)の特徴と共通する部分が多く,あえて“オオカミに育てられた”とする必要はない。なぜ“オオカミに育てられた子供”の話が生まれたのか。ひとつは,オオカミが人間にとって身近な存在であったということが挙げられる。オオカミは32の亜種があり,かつては世界中に広く分布していた。かといって,けっして人間に飼い馴らされたりはせず,常に一定の距離を保ち,神秘的な存在であり続けてきた。それだけに神話や伝説などにも頻繁に登場する。とりわけ,人間と獣類が混ざり合っている伝説を,インドほどたくさんもっている国はほかにない。